日本の生産性が低いのは「あうんの呼吸」が原因である

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「あうんの呼吸」が生産性を下げる理由

最近、広告代理店の過労自殺問題についてニュースで記事を見ない日はありません。こうした不幸なことが繰り返されないためにも、一つの企業の糾弾に終わるだけではなく、社会全体として課題に取り組んでいく必要があると感じています。

ちなみに統計で見るとここ数年における”勤務問題”による自殺者数というのは2,200〜2,700人程度で推移しています。(詳細はこちらの政府統計)これまでも毎年繰り返されてきた不幸な事実がある一方で、今回のようにニュースになり、また厚労省が本気で取り上げるのは時代の背景や空気も反映されていると思います。

例えば、こんな理由が推測できます

  • 夫婦共働きや親の介護により仕事と家庭の両立に時間的な制約がある人が増えた
  • どこでもつながるスマホにより仕事とオフの切り分けが難しくなった。結果、うつなども増えてきた
  • 人口減少時代を迎えて働き手が足りなくなる

つまり時間には縛られるけど、みんなに健康に働いてほしい時代になった。そのためには生産性やメンタル面のケアが必要である、ということだと思います。

そして、日本社会における生産性を下げる最大の要因が「あうんの呼吸」だと思います。

 

「あうんの呼吸」の弊害とは

「あうんの呼吸」の最大の弊害は物事を定義しない文化を作ってしまうことだと思います。仕事の面で言うと、要件・業務定義をしないこと、役割定義をしないこと、です。

ソフトウェア開発現場の事例

例えば、ソフトウェア開発の現場で言うと、要件定義が中途半端なまま開発が開始されて、あとで炎上するというのはよくある話です。残念ながら開発開始の早さは必ずしもプロダクト完成の早さと一致しません。

しかし、ついつい焦ってプロデューサーとエンジニアの間で何を実現したいのかについての言語化、定義づけに時間を使わず、なんとなく”こんな感じ”で始めてしまい、後々のズレを大きくしてしまいます。

 

採用現場の事例

 

採用も”こんな感じ”で始めてしまうことが弊害になっている分野と感じます。欧米の企業は事業部長がジョブディスクリプション(=職務記述書)の作成に時間を費やすカルチャーがあるそうです。

これは採用する「人材の定義」=「どんな業務をしてどんな成果を出したいかの定義づけ」と一致するからです。

詳しくは以下のスライドでも紹介しています。

実際に、人事と現場や人事と人材紹介会社の「あうんの呼吸」も、候補者を定義付けるために潜在候補者の面接を組むなどの仕事が発生し、業務時間を増やす原因になってしまっているのでは推測しています。

 

役職定義の事例

 

役職における役割定義が曖昧なのも日本企業が改善しないといけないポイントです。
転職する際にキャリアコンサルタントが面談をすると
  • 課長ができます
  • 部長ができます

なんていう解答があったと聞いたことがあります。笑えない笑い話ですね。マネジメントは配下の人数や職種、業界により求められるスキルが変わるため、当然その定義によって本来は給与レベルも変わるはずです。

「あうんの呼吸」だと通用しない世界

会社の規模が大きくなるとき

「あうんの呼吸」はスタートアップ時にスピードを上げて取り組むには悪くない選択です。例えば、起業から初期10名くらいは同じ文化背景をもって、「あうんの呼吸」が効く組織で挑戦した方が無駄がなく成功確率も上がると言われます。しかしながら、それもかなり少人数の時代に少人数の間でに限られると言えます。
実際にスタートアップからベンチャーに成長する中で人事制度や各種制度がないことにより、社内が混乱するという経験を何度もしました。

海外で勝負するとき

 

海外で仕事をする際には「あうんの呼吸」は最悪の選択です。言語化しないとさっぱり伝わりません。定義付けをこれから始めることの背景や全体感にもとづいて共通認識を持たないと、出来上がる成果物がお互い認識違いというのはしばしば起こります。
実際にフィリピンと仕事をしていた際にも「Big Picture」を提示してほしいというのはフィリピンのマネジメント層から言われました。
また、日本企業が開発業務や会計業務をなかなか海外にアウトソースできない、或いはしてもうまくいかないのは、日本国内でそもそも業務定義ができていないからという説もあります。

製造現場

 

製造現場の世界も当然ですが業務定義が求められます。すごく当たり前ですが設計図どおりに何かを作ろうとすると、素材や設備、工程が定義されている必要がありますね。
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この図を見ると明らかに「製造業>サービス業」ですね。そして今回問題になっているのは、ネット業界も一部含まれるサービス業の世界ですね。

まとめ

以上、「あうんの呼吸」が良くない理由や「あうんの呼吸」の弊害を書いてきましたが、日本のソフトウェア・サービス業の成長にはこの「あうんの呼吸」と別れを告げることが大事だと感じています。

これまでは業界としては成長期であったため、とにかくがむしゃらにで勝てた部分があります。しかし、技術レベルやプロダクトが属する業界との連動性も上がる中で、生産性を上げて製造業のように海外でも勝てる産業に育てていくには、「あうんの呼吸」と辞めて、考える時間は少し苦しいですが業務定義・役割定義に時間をかける必要があると感じています。

ちなみにこのブログのアイキャッチ画像に使っている写真は、写真ダウンロードサービスで「カップル」と検索した際に出てきた日本人の写真です。欧米系のカップル写真はだいたい抱き合っているか、キスしている写真ばかりです(w)。こんなところの定義も分かりやすいですね。

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